戸倉の本棚 01
「話を聞いていない」
「集中力がない」
そう見えていた子どもたちの行動が、実は「読解力の不足」から来ている――。
本書ではそのように解説されている。
読解力とは、単に文章を読む力ではない。
「情報をつなげて理解し、文脈の中で判断する力」である。
この力が育っていないと、問題文の意図を正しく読み取れなかったり、会話が成り立たなかったりする。
そしてこの力は、どの教科の学習にも、そして将来の生活にも関わってくる。
にもかかわらず、私たちはそれを「やる気の問題」や「性格の問題」として片付けてしまいがち。
AIによるデータ分析から得られたこの本の主張は、教育の根本を問い直すもの。
読解力を育てるには、構造的な理解と論理的なトレーニングが必要です。
ただ語彙を増やすだけでは不十分で、「意味をつなげる力」が求められる。
この本は、子どものつまずきの本質を探るヒントになり得る。
そして、これらはスキルであり学びとトレーニングで身につく(遺伝によらない)。
これは大きな希望だ。
『シン読解力』 新井紀子 著/東洋経済新報社/2023年